走れば速し 本井 英 ホルスタイン走れば速し草芳し 犬ふぐり腰高に咲くあたりかな 底砂に水馬の影の五ツ紋 栗鼠跳んで小枝の古巣揺るるかな 雉鳩のひんと翔び去り花埃 鎌倉や挙げて灌仏日和かな ポリタンク甘茶の色の透けてをり 万太郎句碑や悪所の花の昼 今朝の佳きこと初燕見たること 真間寺や寺領こぞりて花を吹き
江戸までの水路ありきと草朧 杉菜長けすかんぽさらに長けまさり 牡丹のおむすびほどの蕾かな 花了へて貝母の裾辺黄ばみ果て 蕗原のふかぶかとしてきたりけり 畦塗機水の補給も肝要な 畦塗機指南美直老やさし 宿木も若葉そなへてそれとあり 虚子庵の紫菀ぞ草若葉なせる 筍の踝ほどな膝ほどな