主宰近詠(2024年7月号)

ゼノア・ジブ    本井 英

字の名を寺分(テラブン)とかや髢草

鯥五郎の水平線は遠く細く

かろかろと音の乾きて昼蛙

爺が岳にピークが三つ夕蛙

民宿の畳ぶかぶか蛙の夜

ゼノア・ジブ遙かを辷り夏霞

舟を下りて沖見る日々や夏霞

ぽつちりと利島はありぬ夏霞

その色の楝の花と知れるまで

夏空を仰ぎ回して雲さがす


仁王像怒張の四肢を薫風に

燕らに旧江戸川といふ水面

清潔にあり紫陽花の蕾と葉

色抜けてゆくは即ち小判草

舌端の泡だちながら卯浪寄す

(サカ)り来て若葉の上に天守閣

蚕豆の莢もくもくと太々と

蚕豆の「おはぐろ」きりと結びけり

ほととぎすかな西御門あたりより

鎌倉のいづこの谷戸も金銀花

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