主宰近詠(2023年4月号)

襲はれし如くに        本井 英

迎春と左横書き宮の春

坪庭や福藁の香の充ちわたり

福藁や女将は父を知れるひと

いつの頃よりか姉にもお年玉

病める身を励まし寒に入らんとす

寒林を明るく載せて中洲かな

寒梅にぱちつと雨の当たるとき

前栽の茶畝に寒の雨やまず

涸池に降り込む雨のあからさま

冬の雨つひに欅の幹伝ひ


提灯の尻揺れやまず桜鍋

氷上に水の溜まりて景映す

声かはすなく寒林にすれちがひ

水鳥の水尾のめらめら〳〵す 

くづほれて褞袍のやうや枯葎

襲はれし如くに蒲の穂綿散る

身中にひそむ病魔も春を待つ

氷解けて池面ささやきそめにけり

丈とてもなく魁の犬ふぐり

落椿滑川へと水奔り

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