清サンが好きで 本井 英 岬への径初月を見まくほり 富士薊参道にして登山道 掌の窪に転げ墜ちたる菜蟲かな コスモスの数輪風をもてあまし バス停やコスモス坂と命けたる すでにして浮かび出てをり小望月 月の友竹馬なる筒井筒なる 百日紅根岸へ虚子が通ひし道 清サンが好きであつたと獺祭忌 菓子パンも刺身も好きで獺祭忌
身ほとりに南岳画巻獺祭忌 とりとめし命大切獺祭忌 萩叢を遠ざけてをる雨襖 村々の蕎麦の遅速やみすずかる 姫川も海近ければ刈田など 熊鈴につぎつぎ抜かれ草紅葉 青鷺は頸のS字をさらに矯め うすうすと埃の浮かび池の秋 ナラ枯の切株に生ふ菌派手 ふくらはぎぱきぱき曼珠沙華真つ赤