主宰近詠(2022年8月号)

草の底   本井 英

青鳩の旋回したり潮干岩

磯遊のお襁褓ほとびて垂るるかな

赤といふ色のかげろひ先帝祭

一望の卯浪お座敷列車より

橋薄暑脱ぎたるものを腰に巻き



深閑とグループホーム立葵

仰ぎつつ雲のまぶしき花楝

栴檀の花のほとりの登城道

遠ざかるほどに華やぎ花楝

宮若葉と背中合はせに寺若葉



剝ける葉の破けてしまひ柏餅

竹落葉に追ひぬかれたる竹落葉

また一つ繰り出して来し竹落葉

かなへびの背中葉蔭が揺れてゐる

かなへびのぽろりと堕ちし草の底

句碑にまじり墓碑も幾つか庵の梅雨



   湖北四句
井戸曲輪水櫓とて風薫る

河骨の黄をとらへたり双眼鏡

余呉駅が遠くに見ゆる牛蛙

霧雨ややさしき色に麦熟れて

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