主宰近詠(2022年5月号)

島定食    本井 英

ゆるゆると春立つメンデルスゾーン

春が来ましたと河面を上る浪

きつぱりと立春といふ言葉あり

紅梅の咲けばにはかに紅うすし

その後の敷島の道実朝忌



焼き玉の音へと春の丘下る

春の水よぢれほぐれて囁ける

蜷の道流れ横切るとき太し

蜷が身をゆするたび砂ながれけり

蜷に髭ありて見えたり見えなんだり



浜芝に襁褓換へをりあたたかし

歌枕いくつたづねて三千風忌

三千風忌修することも愉しさに

コンビニといふもののなく島の春

磯遊にはあやにくのけふの風



海坂の裏には春の島いくつ

春の日をあびて磯鵯男伊達

壺焼を副へて島定食となん

花アロエ鮑の殻を灰皿に

チューリップ寄せ植ゑにしてさらに愉し

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