青き踏む 本井 英
鵜の黒の春水潜りゆく迅さ 温みきし水を愉しと鯉の鰭 春浅しSECOMと貼りて薬師堂 路地を抜け路地に入れば梅早し 日の底に天道虫の色うるむ
耕してあるよポットも置いてある 干し若布気さくに頒けてくれにけり 初花とも返り花とも雪柳 紅梅や小腰をすこし矯めて咲く
穴城に降りけぶりたり木の芽雨 春寒の黒門橋や門は失せ 四海浪売店も春寒に閉づ小諸城 三句
見ゆるかぎり全開したり犬ふぐり 下萌のはじまつてをり山羊つなぎ 丘は鳴り海は響動もし三千風忌 梅林を歩すほどに膝ほぐれゆく
梅ケ枝の影が眼白の胸元に 白梅に伸べる眼白の頸みどり 梅ケ枝の影を離るる鳥の影 老けてゆく妻このもしや青き踏む
主宰近詠(2021年5月号)
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