◯特殊標記 (1)ルビ 滴りや 山の心斯く (2)詞書
辿ればやがて 本井 英
枯れてなほ屯を解かず紫菀らは 枯るるとは乾きゆくこと紫菀叢 葉も茎も花びらも枯紫菀かな 葉はなえて茎にまとはり枯紫菀 いづこともなく紫や枯紫菀
枯紫菀空仰ぐこと疾うにやめ 来る風をいとふのみなる枯紫菀 枯紫菀に頰をよせたり語らまく 枯紫菀焚いてくれよと身じろげる 枯紫菀へ介錯の庭鋏かな
俳誌「稲」へ 稔る色たがへながらも稲筵 野尻湖のさびしき頃の一茶の忌 椋鳥々々と蔑まれつつ一茶の忌 老といふ敵手強しよ一茶の忌 人の世の醜きことも一茶の忌
落葉かさなしてゆゆしき土塁かな 今日の雨に草枯さらにはらばへる 嵐電に場末とてあり夕時雨 時雨つつ妓楼の名残かすかにも 時雨つつ辿ればやがて美濃ざかひ
(3)添字 干し上げて若布本博多二句