主宰近詠(2020年10月号)

痩身の杞陽  本井 英

日がさして道なま乾き道をしへ

道をしへ腹の鎧の真紫

たつぷりの式台に置く円座かな

跫音や円座かかへて沙弥来たる

痩身の杞陽を載せて円座かな



透析のなき一日を甚平着て

定位して尾の揺り方の岩魚たり

泥鰌鍋暖簾の白を誇るかに

言の葉や五月雨傘のうちを出ず

スリッパやゴキブリなどて逃すべき



舟虫の付和雷同といへる知恵

梅雨寒の撫でてあたたか猫の腹

今日ぽかとひらきて布袋草の花

老いてさらに香をこそ愛づれ蚊遣香

螢など舞ふべし蜷の水も澄み



萱草の蕾やすでに花の色

畦草もときをり引きて田草取

足を抜くときの泥音田草取

茂なか画眉鳥役者然とをり

地滑りをしたり露草のせしまま
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