痩身の杞陽 本井 英
日がさして道なま乾き道をしへ 道をしへ腹の鎧の真紫 たつぷりの式台に置く円座かな 跫音や円座かかへて沙弥来たる 痩身の杞陽を載せて円座かな
透析のなき一日を甚平着て 定位して尾の揺り方の岩魚たり 泥鰌鍋暖簾の白を誇るかに 言の葉や五月雨傘のうちを出ず スリッパやゴキブリなどて逃すべき
舟虫の付和雷同といへる知恵 梅雨寒の撫でてあたたか猫の腹 今日ぽかとひらきて布袋草の花 老いてさらに香をこそ愛づれ蚊遣香 螢など舞ふべし蜷の水も澄み
萱草の蕾やすでに花の色 畦草もときをり引きて田草取 足を抜くときの泥音田草取 茂なか画眉鳥役者然とをり 地滑りをしたり露草のせしまま