主宰近詠(2020年9月号)

生かされて     本井 英

ひばかりの胴のほそぼそ水中に

ひばかりの色の淡さもいとけなや

ひばかりのつるりと小さき幼な顔

木耳の重さずしりと布袋

木耳も売つてをるなり滝見茶屋



毛虫焼けば数珠繫がりに墜ちにけり

ますらをの白や泰山木の花

青葉山躙りそめたり解纜す

切り裂かれ夏潮白き舳かな

しらしらと吹きひろごりぬ青田風



青田風安房もここらは米どころ

槇垣をつらね海水浴の村

富山(トミサン)の双耳は霧に時鳥

廃 てられて百合なほ咲けるハウス脇

夏潮の微塵にくだけ真白にぞ



青嵐沼面へ叩きつけにけり

念をおすやうに鶯老を啼く

緑蔭の径また次の水音へ

夏燕沼面を蹴りて跳ね上がり

生かされて護られて炎天に立ち

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