英傑のあり 本井英
定期便着きたる島も夏立てる 桐の花散れる音とてありにけり にはたづみ乾きしあたり桐落花 八箇ぴつたりお持たせの柏餅 ほとりほとり花降らするは禅寺丸
黄菖蒲の黄の気の置けぬ黄なりけり をとつひの夜中の今朝のほととぎす 漁港より葉桜の道丘へ伸び 楠若葉湧いておでこがくつつきさう 鱚釣のボート随分沖に浮く
蛸壺の紐ごはごはや波止薄暑 青葉潮沖の生簀は八角形 青葉潮敷く洗岩に暗岩に 青葉潮を小さく切りとり船溜り 浜大根の実とはどこやら丁呂木めき
船虫や評定もなく集ひ散り 遁走の船虫様子見の船虫も 船虫に英傑のあり凡夫あり 横転の海月やさらに反転す 港内の夏潮に棲むソラスズメ
主宰近詠(2020念8月号)
コメントを残す