穴ぐらのごとき入口霜の城  渡邉美保

 季題は「霜」。とは言っても眼前に「霜」が降りている、と言うのではなく、「霜」に象徴されるような凛烈な寒さをその身に纏っている「城」といったところである。虚子に〈霜降れば霜を楯とす法の城〉という句があるが、どこかその句に通じるような緊迫感が一句に漂う。「穴ぐらのごとき」とは、狭く薄暗いという表現。たしかに城の「入口」に「さあ、皆さんいらっしゃい」といった開放感はない。石組みの迫ってくる、狭く薄暗い、まるで「穴ぐら」のごとき入口に、這い上るような急階段が垂れている。

 現代でこそ観光名所として我々は面白がって出入りするが、戦国の世であってみれば命を托す砦。「霜の城」と呼ぶに相応しい厳しさに包まれていたに違いない。一句は、その緊張感を一瞬我々に味わわせてくれる。 (本井 英)

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