ただいまと人戻り来る花筵     青木百舌鳥

 季題は「花筵」。お花見をするための「筵」である。気に入った桜木の下に敷き延べて、飲んだり食ったり、「花の宴」を繰り広げる。夜桜見物のために昼間から場所取りをしている「花筵」もある。

 掲出句の「花筵」は昼間であろう。二家族くらいで、満開の桜の下に敷いた「花筵」。早速、花見弁当を広げて、ひとしきり過ごしてからは、銘々自由。ごろんと横になるもの、そこらの「花」を見に行くもの、河のほとりまで行ってみるもの。そして外を見て回った子供達が「筵」に戻っての科白が「ただいま」であったのだ。ほんの一、二時間過ごした「花筵」を、まるで我が家のように思う感じ方、が楽しい。「筵」を引き払ってしまえば、ただの公園かなにかの、他人の土地であっても、「花筵」を敷いている間は、「我が家」なのである。家族・仲間の有り難さの中で暮らしている、我々の姿が見えた気がした。(本井 英)

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