鯉の背に鯉乗り上ぐる春の水 祥子 (泰三)

  調整が上手く行かず稽古会に参加できなかった泰三です。職場で夏潮を読んでおります。

 「夏潮」8月号雑詠より。季題は「春の水」。雪解けや降雨によって水嵩の増した春の水を言う。

  さてこの句。誰かが餌でも蒔いたのだろう。とたんに鯉たちは集まってきて、壮絶な奪い合いが始まる。鯉は他の鯉に噛みついたりはしない。この句に描かれているように、我先にと、他の鯉を押しのけ、上に乗っかり、餌を奪う。冬の間の鯉のことは「寒鯉」と言って、じっとして居ることが多い。この句には、春となり、水が温んできて動きが活溌になってきた鯉達の姿が鮮明に描かれている。

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