ホームセンター裏とはなりぬ墓洗ふ 朴四五人(2011年8月号)

季題は「墓洗ふ」。「墓参」の傍題である。盂蘭盆会には家に霊棚を設えて、ご先祖さまをお迎えするのであるが、一方、墓にも詣でて墓石を洗い清める。それが「墓参」で「掃苔」、「墓掃除」、「展墓」などといった傍題もある。

「ホームセンター」は家庭用品から大工道具・園芸用品に到るまで幅広く品揃えした大型店舗。都市の中心からやや離れた郊外に立地して広い駐車場を有している場合がほとんどである。こうした店舗の急増が駅前の商店街を大いに寂れさせている現状は悩ましいところだ。

ところで現在でも、多くの人には檀那寺があり、その寺の墓地に先祖代々の墓があるのであるが、近年の都市の変貌でその寺、墓地の周辺の様子も大きく変わってしまう。掲出句はそうした現代のある風景を描き出すことで我々の今を伝えている。こうして墓を洗っている我々が、先祖代々の墓に今まで通り納まっていかれる時代はいつまで続くであろうか。そんな不安な心の内を伝えているのが「とはなりぬ」の五文字である。(本井英)

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