花鳥諷詠心得帖13 二、ことばの約束 -5- 「仮名遣いの話(外国から来た音)」 « 夏 潮

花鳥諷詠心得帖13 二、ことばの約束 -5- 「仮名遣いの話(外国から来た音)」

「現代かなづかい」原則第一類、第二項。
「旧かなづかい」の「くわ」、「ぐわ」は今後「か」「が」と書く。たとえば「科学」は「くわがく」、「菓子」は「くわし」、「愉快」は「ゆくわい」、「外国」は「ぐわいこく」、「一月」が「いちぐわつ」と書くのが「歴史的仮名遣ひ」のお約束。他にも「観音」は「くわんのん」、「元旦」は「ぐわんたん」の類だ。

近年、さすがに耳にする機会が減ったが、この通りに発音された方を何人か知っている。俳人では亡くなった深川正一郎先生がこうだった。聞くところに依れば、虚子先生にもこの発音の傾向はおありだった由。

方言としては宮崎県を中心に、九州南部。四国中部。島根・鳥取北部。石川、富山、新潟、秋田の一部にも残っている。これらは所謂「字音仮名遣い」にのみ見える現象だから、漢字で書いてしまえば何も判らない訳だが、「仮名」で書くとなると厄介な問題となる。

方言として正しい発音を堅持している人々(本来、外国語ー中国語とともにやってきた文字ー漢字の「音」を、何時までも「正しく」発音し続けた人々)にとっては、「発音通り」の表記であるわけで、むしろ「歴史的仮名遣い」の方が無理が無い訳だが、それ以外の地方の人々(つまりいつの間にか、その漢字の本来の「音」を離れてしまった人々)には知識として知って置く必要が出てきた。
たとえば判り易く、英語の場合などで考えてみると「VIOLIN」と書いて「ヴァイオリン」と読み続けるか、「バイオリン」さらには「バヨリン」と読んでしまうかの違いと言っても良いだろう。
敢えて言えば「バヨリン」こそが「新仮名」派という訳だ。

原則第一類、第三項。
「旧かなづかひ」の「ぢ」、「づ」は今後「じ」、「ず」と書く。ただし(イ)二語の連合によって生じた「ぢ」、「づ」。(ロ)同音の連呼によって生じた「ぢ」、「づ」はもとのままとする。
例示されたのもは、
「藤」は「ふぢ」→「ふじ」。
「恥ぢる」は「はぢる」→「はじる」
「痔」は「ぢ」→「じ」
「地震」は「ぢしん」→「じしん」
「女性」は「ぢよせい」→「じょせい」
「水」は「みづ」→「みず」

いよいよ所謂「四つ仮名」の問題だ。簡単に言ってしまえば、「ぢ」と「じ」、「づ」と「ず」は現在多くの人々が「同じ発音」をしているのだから、「じ」・「ず」だけで賄ってしまえ、という発想による。 (つづく)

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