公園に犬侍らせて毛糸編む 岩本桂子(2015年4月号)

 季題は「毛糸編む」。ちょっと前まではご婦人の基本的な手仕事であったが、近年はそうでもないらしい。しかし男の目からは、今でも女性らしい好もしい「景」として大切にされている。

 一句の場所は屋内ではなく、公園。私の乏しい経験で考えると、概して西洋人のほうが屋外、森や公園での過ごし方は上手そうで、公園などに「編み物」や、「読書」を持ちだして半日を過ごしたりする。この主人公もそんな感覚の持主に違いない。「犬の散歩」なども日本人のそれは、ひたすら「お犬様」が主人公なのに対して西洋人の「犬の散歩」は散歩中も犬は「家来」に過ぎない。一句の主人公も「犬侍らせて」とちょっと日本人離れした雰囲気である。その辺りも「物珍しい」景色として面白いと思った。 (本井 英)