主宰近詠(2013年12月号)


 
ただ楽し 本井 英

触れらるること待つてゐる含羞草

含羞草眠れば覚むるとも見えず

波乗の膝のやはらか波抑へ

銀漢や灯りてくらき海図室

明るさを抱き流るる天の川



岸釣の竿の長さぞ頼母しき

章魚釣りの立ちまじりをる根釣かな

島径も高みにかゝり葛の花

月明や大江山ならあのあたり

月の友妻に逝かれしもの同士



曼珠沙華明日明後日は咲かんずる

村空や運動会の楽ながれ

日にぬくみ運動会の大太鼓

老の目に運動会のただ楽し

糸芒かな雨が触れ風が触れ



三つ巴解けて巴や秋の蝶

浜木綿の実とてつるりとてらりとす

鯊釣るに渓流竿を持ち出して

鯊釣るる誘ひかければたまらずに

鯊釣れしとき二 三言かはしをり