着ぶくれて犬に曳かれてをりにけり 武子 (泰三)

 新年度ですね。今年度も、どんな良い句に出会うことが出来るかとても楽しみにしている泰三です。

 季題は着膨れで冬。厚着してぱんぱんに膨らんでいることを云う。

 寒かろうが暑かろうが、犬は散歩に連れて行けとわんわんわめく。寒い中行きたくは無いのだが、しぶしぶと着膨れて連れて行く。犬は元気に駆けようとするが、人間は寒いし、着膨れていて体が上手く動かない。リードがぴんと張り、犬のやる気が空回りしている様は何とも悲しいが、滑稽でもある。

 滑稽な景色を、淡々とした控えた言葉で表現したのがこの句の手柄であろう。

 

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