勝手口の立て付け悪しなめくぢり 和子 (泰三)

 季題はなめくぢり、夏の季語のナメクジの事。じめじめした誠に気持ちが悪い生き物である。私事であるが、数年前に前北氏からもらった苺の苗を全部だめにされてしまった個人的な恨みもある。退治するにはビールが有効だとか。全く贅沢な生き物である。

 勝手口とは、台所に通じる裏口で、ここから出てゴミを捨てたりする。主にその家に住むものが生活のために使うのみで、客人が出入りすることはまずない。だからこの句のように、多少の立て付けが悪くてもそのままの状態にされていることが多い。ナメクジが出ているということは、湿度がかなり高い日なのだろう。その湿気を吸って普段よりますます勝手口が言うことをきかない。叩いたり、もしくは蹴ったりして、ドアを開け閉めしているのかも知れない。そんな人間の営みとは無関係になめくぢりは何ともおっとりとしたものである。

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