題詠でGO!【英後選】
1.三月二十九日 「春炬燵」「田楽」
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廊曲がり曲がりて部屋へ春炬燵 かおる
田楽にたつぷり塗るや手前味噌 三佳
田楽やくはへて串を引き抜きて かおる
母のまた同じこと言ふ春炬燵 照子
見舞状したゝめてゐる春炬燵 三佳
宿坊の部屋の真ん中春炬燵 美穂
持ち寄りし菓子美しき春炬燵 照子
荒れて来し海を眺めて春炬燵 祐之
春炬燵温めてありて旅の宿 美穂
折り紙の麒麟三頭春炬燵 昌平
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2.三月三十日 「春灯」「亀鳴く」
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歳を数えること止めて亀の鳴く 美穂
送別の寄書色紙春灯下 三佳
春の灯や迷路めく路地神楽坂 明朗
春灯下学用品に名付けして 三佳
春灯や厨子のうちなる飛鳥仏 照子
亀鳴くや政争民を置去りに 祐之
コテージの裸電球亀の鳴く かおる
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3.三月三十一日 「浅蜊」「竹の秋」
投句:かおる、照子、明朗、昌平、和子、美穂、祐之
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良寛の庵へ続く竹の秋 和子
造船所見えゐて浅蜊ほつてをり 照子
暗がりにこそと浅蜊の動く音 美穂
友眠る小高き墓地の竹の秋 明朗
舌噛んで浅蜊の口の半開き かおる
掘り当てし浅利の粒の大中小 昌平
マフラーを二本突き出す浅蜊かな かおる
尻濡らすことも楽しく浅蜊掘る 明朗
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4.四月一日 「桜」「菜種河豚」
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放られしままに乾びて菜種河豚 和子
灯されて色を変へたる桜かな 和子
朝桜ロビーに流すモーツァルト かおる
菜種河豚膨らみながら捨てらるゝ 泰三
寺も町も人も桜に見え隠れ 美穂
市場より海へ放られ菜種河豚 祐之
昨日来て明日は帰る夕桜 かおる
誘はれてのぞく朝市菜種河豚 照子
小さき窓より大桜仰がるゝ 泰三
二三輪咲きし桜の愛ほしき 明朗
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以上、四日分の選句稿です。