無花果の乳したたらせもがれけり さえ  (泰三)

 会う人会う人に「太ったね」と言われる泰三です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 季題は、無花果(いちじく)で秋。何とも特徴のある形をしている。しかし、この句は、形については何もかたらない。もがれるとき、乳の如き汁がしたたっていることを述べているだけである。ただ、無花果から出てくる汁を「乳」と言い切ったことで、無花果の乳房の様なあの形までも読者に連想させる。「乳房の如き」と言った形を直接描写する表現を避け、季題を見せることに成功している巧みな句である。

 

 

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