小園逍遙 本井 英 半夏生その一刷毛のはじまりし 仰ぐ薔薇見下ろす薔薇とありにけり ちりちりと花穂もすでに半夏生 河骨の黄に赤手蟹ことしまた 河骨の水へと闇の解けそめし 半夏生の飛び移りたる白の色 十薬の茎伸びきりてふらふらす 色得つつありて式部の蕾たり ついりせしよと磯鵯の高らかに 赤手蟹の爪先は白梅雨に入る
夏椿雨をよろこび幹ひからせ 濃淡や散りひろごりて海紅豆 風車なして白花夾竹桃 十薬の八重咲きなれば引かれずに 沢瀉の若葉ながらのそのかたち 吾亦紅若葉濃うなる雨の中 ラティス張り了へて薔薇植う心組み 誇らかに白を掲げて半夏生 半夏生えやみのごとく白とばし 若葉雨過ぐテラコッタ生乾き