主催近詠(2019年9月号)

病を主    本井 英


通院の日々のふたたび梅雨寒し

梅雨寒のいつまで昏れぬ川ほとり

燕翔るロープワークの図をなぞり

色合ひの近親づくめ立葵

十薬の葉をこそ賞づれ濃紫 




東京から来し人々に梅雨晴間

五月晴小型機脚を出したまま

梅雨晴や病めば病を主とし

老鶯のこまぎれながら途切れなく

尻の肉落ちれば硬し涼み石




塗りつけし白の重たし半夏生

夏雲へねぢれ消えたり出発機

刃もてとげし本懐虎ケ雨

鬼王も団三郎も虎ケ雨

こみあげて堰を切りたり虎ケ雨




語りきし果ての号泣虎ケ雨

虎ケ雨化粧坂にも降りおよび

男は死に女は生きて虎ケ雨

虎瞽女の泊り泊りの虎ケ雨

いまに売る虎子饅頭虎ケ雨
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