主宰近詠(2019年5月号)

かけがへのなき人々     本井英

白菜の畝に居並び首 級(シルシ)めき

紫に紅に下萌えにけり

犬ふぐり拗ね者もなく咲きそろひ

知らぬ人が春一番と言つて過ぐ

池普請途中で抛りだしてあり




この里に幾観世音春時雨

八橋は立ち入り禁止雪残り

春泥を跨がんとする膝と腰

磯原におつかぶされる余寒かな




夏潮新年会 二句

旧正をかけがへのなき人々と 春の人かな名乗り合ひ笑まひ合ひ 犬ふぐりおほよそ閉ぢて雨近し 離り見て梅林は色やはらかき 雨の糸受け入れてをる古巣かな




雨が打ちはじめ白梅散りはじめ

雨に濡れてさらに明るし花菜畑

花菜畑咲きむらあるは一樹ゆゑ

名草の芽よろこぶほどの雨注ぐ

モノレール出発あたり霞みつつ

福寿草の黄色のどこか緑おび
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