春を思はしむ 本井英
足裏にひつつく床や寒稽古 ホワイエにダンス部の寒稽古かな 寒稽古へドアをバタンと出て行きし黄鶺鴒の方ががつしりしてをるよ 三十三才低くか黒く川跨ぐ犬山稽古会 八句
鉄橋の吼えては止みて寒の闇 暁の浮寝の陣の黒とのみ 鴨の陣いくつ犬山頭首工 鴨の陣解けと朝日が促すよ 伝令のごと鴨の陣抜け出せる
カンバセ顔にそひてただやう息白し 鴨は鴨鵜は鵜でくらし頭首工白いもの落ちて来さうや明治村 寒ざむと三八銃を展示せる 切山椒の色みな春を思はしむ明治村 二句
くすぐりの少し度が過ぎ初芝居 日脚伸ぶ日々を閑散スキー場 出勤のホステスたちに日脚伸ぶ マフラーに顎をうづめて憎みけり 蛇口ひねれば寒の水棒状に