はまばう・はまごう 本井英
土塊が割れ新藷の赤のいろ 小暗きをさらに下れば氷室跡 氷室口溶岩をいかつく積み上げて 片舷にかたむくボート夜光虫 さし入れて五指のかたちに夜光虫
覆ひして大護摩壇や油照 駐車場に朝の体操月見草 貧相な男が佇てる月見草 開ききりて二十幾弁紅蓮 踝の高さにひらき凌霄花
駒草の影を朝日がいま作る 夏潮へと延べあるレール造船所 はまばうの黄のやはらかく新しく はまごうの咲きひろごりて静かなる 夏蝶や朱の斑を見よと翅ひろぐ
病ひには触れず日焼を褒めくれし虚子庵の天井黒し夏の雨 虚子が棲み紅花守りし黴の庵 涼風や改札柵をあふれ吹き 山百合のくだけちらばり嵐あとこもろ日盛俳句祭 四句
主宰近詠(2018年10月号)
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