季題は「夕祓」。「御祓」の傍題である。現在では多くの神社が新暦の六月晦日に行っており、『ホトトギス編新歳時記』でも六月の最後に据えられた。京都上賀茂神社も新暦での夜分の形代流しは有名。一句はまさに、百人一首の〈風そよぐ楢の小川の夕暮れは御祓ぞ夏のしるしなりける〉の世界である。そんな京都の御祓の行事に侍って、帰りには「京菓子」を買って帰宅したのであろうか。しみじみ味わう、その菓子の上品な甘さに京都ならではの歴史の豊かさを実感している作者である。(本井 英)
京菓子の甘さほどよき夕祓 石神主水
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