病室から
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再入院、三日目。病室の窓から外苑の絵画館の屋根が見えます。まるで今の私の髪型そっくりなので笑えます。英
「水仙」 宮川幸雄 選 水仙の凛と咲きたる忠魂碑 山口照男 水仙の矜持を保つ葉の捩れ 静もるる連隊跡や水仙花 福田雅子 水仙を挿して信如の何処へやら 草野 鞠 土曜日の朝のキッチン水仙花 前北かおる 谷戸奥の妻の墓にと水仙を 本井 英
季題は「花火」。「花火」を大きく二つに分けると、「揚花火」と「手花火」に分けられるが、どちらも盆の送り火の一形態として、華やかな中に一抹の悲しみ、憂いを帯びたものである。
さて掲出の「遠花火」はもちろん「揚花火」。地平線近い低い空に、「ぽっ、ぽっ」と音も無く湧いては消える。作者が自分の乗っている電車の車窓はるかに「遠花火」の揚がっていることに気付いたのは、どのあたりであったのか。今宵花火大会のある町は、どこどこぐらいの想像をしながら、車窓の「花火」を楽しんでいるうちに、電車はとある駅に滑り込み、当然ながら遠方の景色は閉ざされてしまった。乗客の乗降が思ったより時間がかかりながら、発車のベルとともに車窓は動きだし、先程までと同じような、遠く見渡せる場所まで出て来る。もう見えないのかと思って凝視している車窓に、ふたたび音もなく浮かぶ「遠花火」。なんか得をしたような気分に包まれながらガラス窓に額を付けて外を見ている作者の姿が見えてくる。(本井 英)
駅過ぎて遠花火また見ゆるかな 田中 香 初秋や耳納の襞の黒々と 路地裏に昼のカラオケ鳳仙花 秋蝶の身の置き処なく飛べる 蜘蛛の囲をぶわんと撓め秋の風 浅野幸枝 下り簗魚影の見えてゐて落ちぬ 磯田和子 秋雲や野中到の墓処 児玉和子 県知事の挨拶のある里祭 西木麻里子
柿もいでくれもする 本井 英
山梨の滓口中にほの甘し 水仙の芽だち袴も行儀よく 鶺鴒や追ひ越しさうに追ひすがり 秋風に鷺の綿羽吹かれどほし河の秋輪中浮かびし世々のこと木曽三川
桑名城戦はず開きたる城曼珠沙華 菊人形の手摺のにはか造りなる 菊人形の草摺ことに華やかに 灯を消せば菊人形の香ぞ満つる 老木にいたはしきまで新松子
胴の間に積む蛸壺に秋の雨 秋雨にA旗掲げて浮かびをり「A旗」は潜水中の意の信号旗ソウル清涼里尼寺の尼柿もいでくれもする
慶州いかのぼりを野分の空に放ちたる 山雀や一旦藪へ消えてまた 山雀の頰つぺたの薄汚れたる 初鴨のすべなく降られをるばかり