久々の海岸
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久々に海岸を歩きました。いい天気でした。数え日ですね。これから年賀状を書きます。英
課題句 「短日」 藤永貴之 選 ロープウェイ下りて里曲の暮早し 岩本 桂子 みちのくの旅のはじめの暮早し 廃寺とて掃く人のあり日短 櫻井 茂之 短日の産土に来て祈る人 根岸美紀子 短日や句会戻りの夕支度 前田 なな 内灘まで来てみたりしが日短 本井 英
季題は「ででむし」、「蝸牛(かたつむり)」の傍題である。「でんでん虫」とも呼び、さらに「でーろ」、「まいまい」、「みな」など方言が豊かなことでも知られ、柳田国男に有名な「蝸牛考」なる論文がある。この「ででむし」という呼び名は「出ろ出ろ」と蝸牛を囃して「角」を出させる「遊び」からの命名と言われる。「♪ヤリ出せ、ツノ出せ、アタマ出せ」である。
作者もまた、この「ででむし」を見掛けて、大いに「遊び心」が発動したのであろう。ゆるりゆるりと石畳の辺りを移動していた「ででむし」を見かけた作者は、殻を掴んで持ち上げてみる。初めはねばねばした柔らかい身体を伸ばして、つまみ上げられることに抵抗を試みた「ででむし」も、ついには持ち上げられてしまったのである。
作者は、こうして「地面」から持ち上げられてしまった「ででむし」のことを「地球」から「切り離した」と表現した。一見、「何を大袈裟な」と思われる読者も少なくないであろう。しかし、地を這う虫、「毛虫」でも「芋虫」でも、あるいは「蜥蜴」などと比べても、「蝸牛」(実は蛞蝓もだが、蚯蚓をつまみ上げるのは気持ち悪い)ほど、地面に密着して移動する虫は思い付かない。
ここに至って作者の表現は「表現のための表現」ではなく、確たる実感に裏打ちされていることが判る。この句を巻頭に据えた所以である。 (本井 英)
ででむしをつまみ地球と切り離す 磯田知己 形代に老若男女表裏無く 歩行者用ボタンを押して片陰へ 空蟬の中は随分窮屈さう 浜木綿の明日咲く蕾への字なる 早稲田園子 白鍵に沈める指や夜の秋 田中 香 垣根なき海辺の暮らしカンナ赤 小川美津子 かもめ現る夜涼の船の灯の中に 津田祥子
口うるささよ 本井英
叔母ひとり手狭まに暮らす残暑かな 新松子まつぼつくりも脇になほ 自転車の胸から上が蘆原を 沼風のおよびてはをり夏蕨 雀蜂に喰はれて蝶は翅四枚
秋鯖の腹のほのかに黄をおびし あをあをと紡錘のかたちに烏瓜 秋灯にあからさまなり御前立ち 鮒用の道具ですがと鯊を釣る 眺望や島崖は枸杞咲きさかり
女郎蜘蛛肥えてゆく日々空碧し 寺女の口うるささよ萩に雨 浜にはや佇む影は月の友 赤蜻蛉簗場の空の広からず 丘空に湧いて運動会の楽
裾風に雁金草の浮き上がり 林中の説明板の蛇拙な 蒲の穂の肉むらだてるあたりかな 稲架の影稲架を外れてありにけり 風のよく通へる落穂拾かな