課題句 「蛇」 川瀬しはす 選 草中を蛇泳ぐごと逃げゆける 山本道子 蛇泳ぎをるよと人の集まり来 ずずずずず天井裏の屋敷蛇 遠藤真智子 衆目を集めくちなは身じろがず 山内裕子 淡々とバターで蛇を掬ひ上げ 杉原祐之 竹垣の上長々と青大将 石山美和子
課題句(2025年6月号)
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課題句 「蛇」 川瀬しはす 選 草中を蛇泳ぐごと逃げゆける 山本道子 蛇泳ぎをるよと人の集まり来 ずずずずず天井裏の屋敷蛇 遠藤真智子 衆目を集めくちなは身じろがず 山内裕子 淡々とバターで蛇を掬ひ上げ 杉原祐之 竹垣の上長々と青大将 石山美和子
課題句「鱚」 今井舞々 選 浅瀬にて産卵したる鱚なれど 河内玲子 群なさず浅瀬のそこに鱚泳ぐ 近藤作子 鱚の群れ白砂すれすれ泳ぎ行く 浦上ひづる 春の海白き魚のむれ泳ぐ 清水マリ 砂浜の女王たるらし鱚を釣る 原 三佳
課題句「藤」 山内裕子選 城を守り人に守られ藤の花 田中 香 しんくと降る藤の香の中にゐて 藤棚の風や書斎を吹きぬけて 梅岡礼子 閉園の鐘に藤房暮れゆきぬ 北村武子 城跡に紫渡る藤の花 河村雅子 懸り藤谷戸の詰まりに牛放し 前北かおる
課題句「陽炎」 梅岡礼子 選 対岸の遊糸の解けし夕べかな 原 昇平 陽炎やタラップ車ゆつくり停まる 巻狩のありし裾野や陽炎へる 山本道子 陽炎に端といふものなかりけり 小沢藪柑子 陽炎の竿にやうやく中りくる 藤田千秋 陽炎やこんな処に山羊放ち 本井 英
「余寒」 町田 良 選 戦争を終はらせられぬ余寒かな 馬場紘二 浴槽で髭剃つてゐる余寒かな 余寒かな学童疎開祖母と居て 礒貝三枝子 就職と引越迫る余寒かな 前北かおる 塗椀を仕舞ふ土蔵の余寒かな 梅岡礼子 調律の響くホールの余寒かな 財前伸子