課題句」カテゴリーアーカイブ

課題句(2025年6月号)

課題句 「蛇」       川瀬しはす 選

草中を蛇泳ぐごと逃げゆける		山本道子
蛇泳ぎをるよと人の集まり来
ずずずずず天井裏の屋敷蛇		遠藤真智子
衆目を集めくちなは身じろがず		山内裕子
淡々とバターで蛇を掬ひ上げ		杉原祐之
竹垣の上長々と青大将		石山美和子

課題句(2025年5月号)

課題句「鱚」     今井舞々 選

浅瀬にて産卵したる鱚なれど		河内玲子
群なさず浅瀬のそこに鱚泳ぐ		近藤作子
鱚の群れ白砂すれすれ泳ぎ行く		浦上ひづる
春の海白き魚のむれ泳ぐ		清水マリ
砂浜の女王たるらし鱚を釣る		原 三佳

課題句(2025年4月号)

課題句「藤」         山内裕子選

城を守り人に守られ藤の花			田中 香
しんくと降る藤の香の中にゐて

藤棚の風や書斎を吹きぬけて			梅岡礼子
閉園の鐘に藤房暮れゆきぬ			北村武子
城跡に紫渡る藤の花				河村雅子
懸り藤谷戸の詰まりに牛放し			前北かおる					

課題句(2025年3月号)

課題句「陽炎」	梅岡礼子 選

対岸の遊糸の解けし夕べかな		原 昇平
陽炎やタラップ車ゆつくり停まる

巻狩のありし裾野や陽炎へる		山本道子
陽炎に端といふものなかりけり		小沢藪柑子
陽炎の竿にやうやく中りくる		藤田千秋
陽炎やこんな処に山羊放ち		本井 英

課題句(2025年2月号)

「余寒」            町田 良 選

戦争を終はらせられぬ余寒かな		馬場紘二
浴槽で髭剃つてゐる余寒かな

余寒かな学童疎開祖母と居て		礒貝三枝子
就職と引越迫る余寒かな		前北かおる
塗椀を仕舞ふ土蔵の余寒かな		梅岡礼子
調律の響くホールの余寒かな		財前伸子