第37回mixi句会は34日(土)22時〆雑詠7句です。
投句は下名または、渡辺深雪さんあてにお願いいたします。
興味のある方は下記mixiの頁か、杉原宛にお問合せ下さい。
http://mixi.jp/view_event.pl?id=65094183&comment_count=5&comm_id=2843365
第37回mixi句会は34日(土)22時〆雑詠7句です。
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福岡~済州島~上海を巡る、船旅に出ていました。発着点が福岡でした。
今日は東京への便が悉く欠航となり当地へ足止めです。
そんな夜も「夏潮」勢は九州に沢山いるので飽きることはありません。
青山茂根句集『BABYLON』ふらんす堂
青山茂根さんの第一句集。青山さんは1966年茨城県生。「銀化」「豈」で活躍。『超新撰21』にも参加。その他評論として『鑑賞 女性俳句の世界』第6巻 を執筆。
序文は中原道夫氏、栞を櫂未知子氏というのは、2週前に紹介した山口優夢さんの句集『残像』と同じである。
句の特徴としては、山口さんが中原道夫の世界に似ているのに対し、青山さんは櫂未知子さんの世界に近い印象を受ける。 句としては強い使役、命令口調の句も多く、自分を叱咤激励しているかのようである。
また「望郷」「放浪」がこの一集のテーマとなっており、世界各地を訪ねた句が掲載されつつ、どこにも自分の居場所が無いような不思議な構成となっている。季題の持つ幅を最大限に活かして、「放浪する自分」を詠もうとしているのであろう。
安易な言葉の選択に走らず抽象的な意味が広がる言葉を選んでいるので、句として意味を取りずらい句も多い。
また言葉が先に走ってしまったり、異国の風景に季題を付け合せただけの句も散見された。これらの点は、これから彼女がキャリアを積むにつれ、解消されていくべき点であろう。
装丁も個性的で、二句一組上下にずらす形の句の配列も、次から次へ旅をしている感じに捉えられて楽しい一集。
●最果ての地にも蒲団の干されけり 茂根
季題は「蒲団」。今年の俳人協会賞を受賞された斉藤夏風さんの『辻俳諧』に
「蒲団干すそこに兎を追ひし山 夏風」
という句があるが、これも「蒲団」という生活に密着した季題からそれを干す人々の生活の様子を想起させる。
「最果ての地」というのは、私の場合日本であれば稚内、チリ、アルゼンチンのパタゴニアの大地を創造してしまった。
その「最果ての地」に、いかにも日本的生活が背景にあり季題となっている「蒲団」が干されている。日本を当面のルーツとしつつ、望郷の旅を追い求める茂根の詩の原点とでもいうべき光景だと感じた。
●野の花を集めしほどの水着かな 茂根
季題は「水着」。自分が着ているビキニであろうか。体を隠すスペースが小さい。
その水着の部分が野の花程度の容量であったということ。
羞恥心とエロスを実に上品な表現で仕立て上げた。
何より「野の花を集めて」「水着になる」という発想に驚かされる一句。
私が詠むと若干下びた表現になるところだが、この句の場合はそういう厭らしさが一切なく詩として成功している。
以下幾つかの句を紹介したい。
「砂塵(Kyzyl kum)」
ひよめきの閉ぢて梟帰れざる
いはれなくてもあれはおほかみの匂ひ
らうめんの淵にも龍の潜みけり
着陸のための枯野を探しをり
箱庭にもがきし跡のありにけり
なきながらに磯巾着をまとはせむ
らふそくを揺らし枯野へ晩餐に
草いきれごと山羊乳を飲み干しぬ
口笛や影となるまで日焼して
落城のごとく毛虫を焼きにけり
ががんぼに嘆きの壁を与へけり
沈みゆく街とも知らず踊りけり
ミルク臭き春の夕焼と思ひけり
「壁龕(mihrab)」
風紋のみづみづしきを雁供養
睡蓮に幽閉の空ありにけり
橇運ぶとてももいろのたばごころ
ふきこばしては人日の厨なる
賭事の卓の小さき白夜かな
移民には移民の端居ありにけり(シンガポール)
また恋文を夏潮のうらがへす
さういへば武器を持たざる焚火かな
雛壇や殿上もまたさびしからん
たゆたひて夕日の色の甘茶かな
コカコーラ色の腕(かひな)や田植人(インドネシア・バリ島)
「尖塔(minaret)」
ジプシーの眼をして苗木市の隅
パリー祭らし屋根裏に病む耳に
傷あとを誰も問はざる帰省かな
滑走路途切れて虫の闇はじまる
迷ひ子のやうに初景色の中に
鶯や彼方に重機光りあふ
男臭くて闇汁の後の部屋
バビロンへ行かう風(ヒヤ)信子(シンス)咲いたなら
「夏潮 第零句集シリーズ Vol.1」 藤永貴之『鍵』
「夏潮第零句集シリーズ」が始まった。記念すべき第一巻は、雑詠及び英主宰の鑑賞取上げ回数から、私が勝手に「夏潮Big4」と呼んでいる一人、藤永貴之氏。
昭和四十九年福岡県生。平成六年に「慶大俳句」入会し、「惜春」「夏潮」に所属。平成二十二年の第二回「黒潮賞」受賞者(第一回も準賞)。 藤永貴之は静寂の詩人である。その句の特徴は季題が働きかけてくるまでじっと会話し、自分の主観と言葉が一致するまで妥協しない厳しさから生れてくる詩情である。
また、彼の句には「間」の取り方についての創意工夫が見られる。
我々の句風というのは、「二句一章」ではなく「一物仕立」と呼ばれることが多く、どうしても上五から下五まで「ストン」と詠まれることが多い(取って付けた様な切字「かな」「けり」の用法)。その中で、藤永貴之は時間の使い方、「間」の使い方に工夫が見られる。「間」を取ることで作者が季題に接していた長い時間の様子を作者に投影することが出来る。
この句集のP6「腰掛けて眺むる人も冬桜」から、P8の「地を打つて魂抜けし霰かな」まで11句、「て」「で」で軽く切り「間」を取る句が並んでいる。
逆に言うと「瞬発力」で詠んだ俳句と言うのは非常に少ない。それは藤永貴之の人柄にも非常に影響していることであろう。
全体の詠み振りが大人しい俳句ばかりである。季題とじっくり交感するのが藤永の特徴であるが、お酒を飲んで我を失ったり、ロックのバンドで活躍するのも藤永の一面である。内面に滾る熱い思いを句にどうやって表現していくか。
大学在学中、卒業後と色々回り道を歩んでいたが、福岡で女子高校の教師としての職を得、家族も得たいま、藤永貴之がこれからどのように季題に向かい、我々に見せてくれるか楽しみにしたい。
『鍵』抄 (杉原祐之選)
立冬と書くや白墨もて太く 貴之後手をついて一ト息薬喰
茎立のめでたくも花咲きにけり
魞挿すや湖は晴山は雪
芍薬の芽の鉗(ツグ)めるに雨の絲
さみだれやタクシーの待つ楽屋口
青柿や俳句に作りごと要らず
抽斗をひけば聖書や夜の秋
アスファルトに出てしまひたる葛の尖
教会といふバス停も島の秋
(杉原祐之 記)
関係ブログ
俳諧師前北かおる http://maekitakaoru.blog100.fc2.com/blog-entry-671.html
藤永貴之近影”
藤永貴之インタビュー
質問: 1)100句の内、ご自分にとって渾身の一句は?
→渾身の一句はないので、かわりに、いま好きな一句。「家の灯の遠くに点り鶴の村 貴之」
2)100句まとめた後、次のステージへ向けての意気込みは?
→自分らしくない句を沢山作りたい。
3)100句まとめた感想を一句で。
→「大群の鰯のかほの一つ一つ 貴之」
【お報せ】週刊俳句10句競作<結果発表>
競作に前北かおるさんと杉原祐之さんが応募されており、
見事に落選しております。
作品へのコメントなどいただければと存じます。