投稿者「祐之」のアーカイブ
【お報せ】第41回mixi句会_12月30日22時〆
【お報せ】第41回mixi句会_12月30日22時〆
『俳コレ』_(杉原)
『俳コレ』(週刊俳句編、邑書林)
邑書林から、一昨年の『新撰21』、昨年の『超新撰21』に続き出版された、俳句アンソロジー。20代~60代までの22名の俳人の句100句ずつが紹介されています。
今回は、この欄でもたびたび紹介している「週刊俳句」が「俳句のこれからを担う作家」として選んだ22名の句を、別の作家による他撰により選ばれた俳句が及び小論が掲載されています。
残念ながら「夏潮」勢の紹介はありませんでしたが、深夜句会に参加いただい
ている、津久井健之さん、松本てふこさん、野口る理さんが集中に参加。
中盤から後半に掲載されている、斉藤朝比古さん、望月周さん、津川絵里子さん、依光陽子さんなどは総合誌の大きな賞も受賞されている方です。
また、深夜句会の常連かつ、現在誌上掲載中の「虚子と近代」の鼎談に参加いただいている岸本尚毅さんが、巻末の座談会に加わっております。
個々人の句については、一風変った方も多く、「アンソロジー」として楽しめる一集になっています。我々の工夫と大分異なる方もいますが、それはそれで楽しめると思います。我々としてどのような句を良い句と捉えるか、頭の訓練としても楽しめます。
同世代の俳人たちがどのような句を詠んでいるのか(「書いているのか」と言う表現が相応しい方も多いですが)、是非一読下さい。
★集中作家から一人一句(内が選者、帯に掲載の句を除く)
野口る理 (関 悦史)「眠くなる」
友の子に友の匂ひや梨しやりり
福田若之 (佐藤文香)「302号室」
電光板を赤い株価がよぎる冬
小野あらた(山口優夢)「隙間」
順番に初日の当たる団地かな
松本てふこ(筑紫磐井)「不健全図書〈完全版〉」
不健全図書を世に出しあたたかし
矢口 晃 (相子智恵)「白壁に蛾が当然のやうにゐる」
会社辞め口座残りぬ年の暮
南 十二国 (神野紗希)「星は渦巻」
鏡みな現在映す日の盛
林 雅樹 (榮 猿丸撰 小論・上田信治)「大人は判つてくれない」
蝮捕駅で蝮を振りまはす
太田うさぎ(菊田一平)「蓬萊一丁目」
最上川雛の後ろを流れけり
山田露結 (山田耕司)「夢助」
手袋を手紙のごとく受け取りぬ
雪我狂流 (鴇田智哉)「こんなに汗が」
あーと言ふあ~と答へる扇風機
齋藤朝比古(小野裕三)「良夜」
後の月ひとりの幅の跨線橋
岡野泰輔 (鳥居真里子)「ここにコップがあると思え」
芒原シャツと思想を交換す
山下つばさ(島田牙城)「森を飲む」
花野へと続く数字の羅列かな
岡村知昭 (柿本多映撰 小論・湊 圭史)「精舎」
寒の鯉カフスボタンを吐きにけり
小林千史 (山西雅子)「エチュード」
波激しければ激しき踊かな
渋川京子 (大木あまり撰 小論・小川楓子)「夢の続き」
ハンカチを正しくたたみ出奔す
阪西敦子 (村上鞆彦)「息吐く」
コインランドリー春風の行き止まり
津久井健之(櫂 未知子)「ぽけつと」
兎飼ふしづかに暮らすために飼ふ
望月 周 (対馬康子)「雨のあと」
枯芝をゆくひろびろと踏み残し
谷口智行 (高山れおな)「紀のわたつみのやまつみの」
葛の崖重油の匂ふところあり
津川絵理子(片山由美子)「初心の香」
助手席の吾には見えて葛の花
依光陽子 (高柳克弘)「飄然」
ワイパーのけづり寄せたる今朝の霜
〆
邑書林「俳コレ」HP
前北かおるさんが 集中紹介の全員の句の講評を行っております。そちらもご覧下さい。
http://maekitakaoru.blog100.fc2.com/blog-entry-761.html
『俳壇』2012年1月号~虚子百句
『俳壇』2012年1月号~虚子百句
先週に続いて総合誌からご紹介します。
本阿弥書店から12月15日に出版された『俳壇』の最新号で、本井英主宰が★誌上句集「高濱虚子」で百句選並びに解説を書かれています。
本井主宰が選んだ「虚子百句」、雑誌の座談会などで推薦されている句との比較など是非是非味わってみてください。
〆
本阿弥書店HP
町田優第零句集『いらっしゃい』を読む_稲垣秀俊
第零句集4号は町田優人さん(俳号 優)の『いらつしゃい』。町田さんは昭和62年、大学の一般教養で本井氏に出会い、その縁で俳句の世界に入られた。夏潮には平成19年から参加されている。
町田さんの俳句には底知れない不思議な感じがあり、その一部は音の操作に由来するものではないかと私は考える。以下に挙げるように、『いらつしゃい』には音量を絞ったように感じられる句がよく見られる。
竜胆を一輪毎の喫茶店
暑きこと京成の景屋根ばかり
遠足のすぎて鎖場残りけり
初空に敷き広げたる都会かな
秋出水納屋に農具の下がりけり
これらの句は視点を工夫して、あるいは音のフェードアウトを用いて音の情報をカットし、読者の注意を季題に誘導しながら視覚的な印象を強めることに成功している。このような視覚情報と聴覚情報の制御が、独特な雰囲気をかもし出す装置の一つとなっているのではないだろうか。
一方で、音の操作に関係なく独自の世界を見せる句も多い。ここでは次の三句をとりあげる。
いらつしゃいまたいらつしゃい芒原
季題は芒。生い茂った芒が風に吹かれる様子を、別れを惜しんで手を振っているかのように描写している。「いらつしゃい」という言葉の持つ暖かみが、やさしげな葉ずれの音や、芒原の日当たりの良さまでも想像させる。
鰯雲裏山を越え来たりけり
季題は鰯雲。すっきりと晴れた空を見上げると、裏山の向こうから鰯雲が近づいてくる。すっかり秋である。出来事としてはそれだけだが、生活空間である裏山を配することで、季節の移り変わりに親しみを感じさせる。
腹立てているかも知れずサングラス
季題はサングラス。口元から感情を推測できないという事から、相手はあまり親しくない人だと考えられる。サングラスのせいで表情が読めないのはよくあることだが、そこをなんとか推測しようとするところに可笑しみがある。
稲垣秀俊 記


