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課題句(2018年3月号)

「山笑ふ」	磯田知己 選

通学路母と確め山笑ふ		園部光代
ランドセル妹も背負うて山笑ふ

地辷りの地膚あらはに山笑ふ		藤永貴之
山笑ふ朽ちゆくものの匂ひ秘め		山内裕子
吊橋を渡れば山も笑ひくれ		本井 英
ひよいと出て鈍行に乗る山笑ふ		馬場紘二

蓮刈られ鉢に短かき茎の数  山内裕子

 「蓮刈る」といった季題が特にあるわけではないので、季題は「枯蓮」ということになろう。蓮は酸素を必要とすることが少ないので、ある程度の大きさがあれば、鉢でも育てられ、実際、町中の寺院の境内で「蓮の鉢」の並べられている景色をよく見る。

 蓮を刈った坊さんはおそらく几帳面な人物だったのであろう。水面からきちっと十センチくらいに刈り揃えられており、「茎の数」が一目で判るというのである。不忍池などの枯蓮の景が、無残に乱れているのに比べて、枯れても端正さを失わないところに、仏法の有り難さを感ずる向きもあろう。「鉢に短かき茎の数」というきっぱりしたリズムが一句の生命である。(本井 英)

雑詠(2018年3月号)

蓮刈られ鉢に短かき茎の数			山内裕子
安全旗風に勤労感謝の日
移りつつ日矢をこぼして冬の雲
冬木の芽上を向かんとしてをりぬ

巣穴から少し歩いて蜂飛べる		櫻井茂之
種を採るおさるの貌にさも似たる	三上朋子
自動ドア抜けて落葉の香の中へ		前田なな
著膨れて所作揺るぎなく橋普請		稲垣秀俊

主宰近詠(2018年3月号)

銀世界     本井 英

石蕗の黄のゆつくり褪せてゆける日々

クリスマスソング水族館に充ち

サンタ帽かぶりてアシカショー司会

     

鈴ヶ森刑場跡

火炙台磔台と冬ざるる 酢茎買うて今井食堂にも寄りて




雁木うち全但バスの停留所

雁木みちへ有平棒は光蒔き

列車着けば雁木を人の通りけり

騎馬像を遠巻きにして雁木かな

雁木出はづれて橋あり銀世界




先住は俳僧とかや枯芭蕉

病室の窓東向き開戦日

帰り行く見舞ひの妻に日短

しやつくりも副作用とよ冬日和

クリスマスツリー点滅夜が明ける




カーテンと玻璃の間の聖樹かな

  

悼 崎山野梨壷さん

ノリさんにばつたり出逢ひさうな枯野 機関区のところどころの枯葎 水仙や引込み線はトンネルへ 去年今年身に病変を抱きながら

課題句(2018年2月号)

「絵踏」          小野こゆき 選

我ならば絵踏すると云ふシスター	浅野幸枝
踏絵板展示ケースに黒ずめる
踏絵見し思ひのほかに小さくて		岩本桂子
主のお姿摩耗し給ふ絵踏板		村田うさぎ
絵踏思ひつ長崎の雨の坂		津田祥子
絵踏の世在りしと十字切る女		辻 梓渕