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課題句(2013年7月号)

課題句「雲の峰」       清水明朗選

摩崖仏の背後に立てり雲の峰		西島糸白
甲斐の国囲むやまなみ雲の峰

人生の果てかも知れず雲の峰		渡辺きくの
饒舌のふと恥づかしき雲の峰		山内博
雲の峰たんこぶ一つ又一つ		辻梓渕
大地なる大壺が吐く雲の峰		本井英

課題句(2013年6月号)

課題句 「花菖蒲」       飯田美恵子選

止まりゐる大きな水車菖蒲園		波多野美津子
江戸に佇ち肥後に佇む花菖蒲

葛飾に残る水郷花菖蒲		辻 梓渕
風立てば風に従ひ花菖蒲		園部光代
立ち直る早さや風の花菖蒲		阿久津稜子
一谷戸の奥の奥まで菖蒲園		本井英

雑詠(2013年7月号)

午后となり厨辺りも暖かく		柳沢木菟
花びらの少しほつれて辛夷かな
耕の終へたるばかり土匂ふ
木戸の猿少し渋りて春の庭

夜桜におしたふされてしまひさう	金子千鶴
春愁の指輪くるりとまはしみる		本間素子
苗札に藍とありまた棉とあり		山内裕子
いつまでもこの籐椅子にすわりたく	田中温子

午后となり厨辺りも暖かく 柳沢木菟(2013年7月号)

 季題は「暖か」。春三月の季題である。歳時記の項目として眺める時はさして感じないが、いざ一句に詠もうとするととらえどころの無い季題かも知れぬ。〈暖や飴の中から桃太郎 茅舎〉などは、いかにもと感心するが、〈暖かに心にたゝみ聞く言葉 立子〉では、どこまで春の気分があるか、達人過ぎて困却。かといって〈今日よりの暖かさとはなりにけり 年尾〉では、スンナリし過ぎて不安だ。 それに比べると掲出句は、よく判る。現代的でない「厨」。北に向いたような、あまり日が射さぬような「厨」である。そこにも「午后」ともなれば周囲からの「暖か」さが伝わってきて、「ああ、春だなあ」と思えるのである。「厨辺り」の措辞が絶妙である。(本井 英)

雑詠(2013年6月号)

寒牡丹女と生れきて老いし		岩本桂子
花びらのうすきが淋し寒牡丹
探梅やここにもありぬときわ荘
早口の関東弁や濃紅梅
梅林に居てふとこころ梅になく

春時雨乾かしてゆく夜風かな		小沢藪柑子
風の角とれて寺町梅日和		皆川和子
瀧長し岩にぶつかり折れ曲がり		藤永貴之
就中歌舞伎座の春待たれけり		町田 良