春昼の鳩の歩めるイルカショー かおる (泰三)

 季題は春昼。穏やかな春の昼間を云う。

 イルカショーの舞台はだいたい屋外にある。そして、プールを囲み階段状の座席がならんでいる。プールの奥には、海が見えたりもして、狭いところに閉じ込められてイルカは大変だななんてちょっとセンチメンタルな気持ちにもなるが、この句には、暗い気配なんて全く感じられない。

 イルカがジャンやアクロバットな業を披露しているのを脇目に鳩が呑気に歩いている。きっと、ショーに夢中になっている子供達の食べこぼしにでも預かろうとしているのだろう。

 イルカショーなんてといったら失礼な言い方になるかもしれないが、目を凝らして懸命に見なければならないものでもない。春昼の長閑な感じが伝わってくる句である。

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