投稿者「祐之」のアーカイブ

祐之 について

「夏潮」運営委員の杉原です。 平成二十二年四月に第一句集『先つぽへ』を出版

「夏潮 第零句集シリーズ 第2巻 Vol.2」宇佐美美紀『日脚伸ぶ』~感性~

 「夏潮第零句集シリーズ」は第2巻第2号は、宇佐美(旧姓:今村)美紀さんの『日脚伸ぶ』。

 

 宇佐美美紀さんは昭和五十年熊本県生まれ。山本道子さんが経営されるレストランでソムリエールとして勤務されている折、「夏潮」が創刊され俳句に興味を持ち始め、湘南吟行会などに参加するようになられた。句集名の『日脚伸ぶ』は、新年会での本井英特選句の

夕方の開店準備日脚伸ぶ 美紀

から取られた模様。

 俳句のキャリアは4年強ということで、これまでの第零句集のメンバーの中でも句歴はぐんと浅いが、「序文」での山本道子さんの言葉通り、「ワインのプロ」「サーヴィスのプロ」としてその洗練された感覚に素直に従った詠みっぷりが新鮮である。思い切ったオノマトペも良いと思う。俳句ずれせず、どんどんご自分の感じられたリズムを表現していってもらいたい。また、破調句などにも挑戦してもらいたい。

 4年のキャリアであっても毎月コンスタントに句を詠まれているので、100句の中でその軌跡が充分確認できた。甘い句やただ事の句も含め、第一句集へ向けてのステップとしての区切りとして、4年強というのもちょうど良いのではないか思った。一区切りを付けて頂き更に新たな句を見せていただきたい。

除雪車の真つ赤な車体雪の駅 美紀

→季題は「除雪車」。この句は一般的には無駄の重なりがある。十七文字しかない俳句で、「除雪車」と「車体」、「除雪車」と「雪の駅」という重なりがある。詠んでいる景色は単純明快。

それでも不思議と惹かれた。中七の「真つ赤」が「真赤」でないことで「赤と白だけの世界」の印象がはっきりし、上記の言葉や季題の重複が気にならなくなった。一文字で俳句の印象ががらりと変る好例。

 

花埃客入る度に舞ひ込みて 美紀

→季題は「花埃」。美紀さんのことを一流レストランの優秀なソムリエールとして活躍されていることを知ると面白みが増す。「花埃」という「艶」よりも「俗」な季題、「客」という突き放した言い方から、自ずとどのような店構えであるかが想像される。桜の季節でお客さんも大変多いのでしょう。結構なことです。

蕾から出づる白玉梅の花

ぐらぐらと風に揺れをる松の芯

夕方の開店準備日脚伸ぶ

もつてりと熟れに熟れをる柿一つ

がつしりと実るトマトの青さかな

薄青く黒く黄色く茸かな

カーテンの激しくうねり大夕立

水仙の芽の小刀のごとく出で

夕暮に古巣の黒く浮びたる

手の届くほどに傾ぎて枇杷たわわ

 

 なお、美紀さんは10月14日に結婚披露宴を開かれたとのこと。大変おめでとうございます。準備などでご多忙であろうということで、インタビューは割愛した。替りにお祝いの一句を、お目汚し失礼。

 

 この上もなき美しき葡萄かな 祐之

 

(杉原 祐之記)

「夏潮 第零句集シリーズ 第2巻 Vol.1」三田たから『一月七日』~透明感~<インタビュー追加>

「夏潮 第零句集シリーズ 第2巻 Vol.1」三田たから『一月七日』~透明感~

 今月から「夏潮第零句集シリーズ」は第2巻に入った。

 三田たからさんは昭和四十八年東京都生まれ。句集のタイトルの『一月七日』はご自身の誕生日から名づけられた模様。

 慶応義塾志木高校の国語の授業でもと本井英と出会いそのまま師事。慶應義塾大学俳句研究会では長年にわたり後輩を指導、俳句だけでなくその後の酒席の嗜み方などを指導されてきた。

 俳句はその風貌から想像できないくらい繊細かつ、衒いのない無理をさせない言葉づかいで句をまとめられている。俳句を通じて評価される/されないということとは無縁の、実に透明感のある句群であり、俳句を人生の一嗜み、楽しみとして付合われていることが良く分かる。

 題材は、石の湯ロッジが舞台である句に固まっているが、100句の範囲でもありそれほど気にならなかった。今後第一句集へ向けて、いろいろな場面の俳句を見せて頂きたい。

木道を白く残して花野かな たから

→季題は「花野」。高原の夏は短く既に風は秋の気配が漂っている。そして、草花も色つきだしている。その中で木道の表面が白かったというのが面白い。実際に白いということもあるが、作者に城に見せさせた何かがあるのではないか。心象的な景も詠まれているようで面白かった。

尻見せてツムリを見せてトマト浮く たから

→季題は「トマト」。たからさんは、老舗料理屋の家に生まれたこともあり、料理の名人であるが意外なほど百句のうちに食べ物をテーマとした句が少なかった。

 この句はトマトの様子を丁寧に写生している。トマトには水気が多いので、水に浮くときもプカプカと浮かぶ。そして水に入れる時の力具合であるものは上向きに、あるものは下向きに浮かんでいる。それを「尻」、「ツムリ」と捉えた。いかにも健康そうなトマトの様子が目に浮かぶ一句。

戻りくる人口々に萩のこと

春うららみんな中国語に聞こゆ

ハンモック天を指したる足の指

赤とんぼ風に尻向け止まりけり

風呂吹きや味噌の手柄と申さばや

竜胆の固く黙して色濃ゆし

弁当に名札のありし避暑の宿

雪上車片傾ぎして谷降りる

踏面の小さき石段落ち椿

あれほどの蛍眠りて沢の朝

幾百のマーガレットの波打てり

(杉原 祐之記)

以下、9月23日インタビューを追記します。

Q:100句の内、ご自分にとって渾身の一句

 →七草の何やらまとひ粥柱

Q:100句まとめた後、次のステージへ向けての意気込み。

 →100句を100回まとめて1万句とする。

Q:100句まとめた感想を一句で。

→ これよりは俳人となる月を見る

以上

ムースニー

すっかり人の原稿を督促することばかりしている杉原です。

「週刊俳句」282号に 「ムースニー」と題して10句旅の俳句を掲載させて頂きました。

よろしければご覧下さい。

http://weekly-haiku.blogspot.jp/2012/09/10_625.html

 

また、最近前北かおるさんは大活躍です。

同じくWeb の「詩客」9月14日号に、「津垣武男納骨記」10句を

http://shiika.sakura.ne.jp/works/haiku-works/2012-09-14-10751.html

週刊俳句」第277号には「深悼 津垣武男」10句を 出稿されいます。まだの方は是非一度ご覧下さい。

http://weekly-haiku.blogspot.jp/2012/08/10_12.html

 

また、朝日新聞夕刊にも出稿されています。

http://maekitakaoru.blog100.fc2.com/blog-entry-1018.html

 

飛ぶ取り落とす勢いとはまさに前北さんのためにあるような言葉だと思います。

「虚子研究号Vol.Ⅱ」

ようやく、カナダで落ち着いてきました。コメントの承認など遅れが出ており、申し訳ございません。

8月は定例の句会もないので、更新ペースが落ちてしまっております。

さて、「夏潮」別冊「虚子研究号Vol.Ⅱ」がふらんす堂 山岡編集長の日記で紹介

されておりますので、お時間がある際にご一読ください。

「ふらんす堂編集日記」

http://fragie.exblog.jp/17822291/

夏潮「第零句集」シリーズ 第二期 購読のお願い 本井英

夏潮「第零句集」シリーズ 第二期 購読のお願い         本井英

 

    昨年来、刊行致して参りました夏潮「第零句集」シリーズは好評のうちに十冊を刊行することが出来ました。ご購読下さった誌友の皆様には心より御礼申し上げます。お陰様で当初の予定を越える八十五部を完売することが出来ました。

   夏潮「第零句集」シリーズは五十歳以下の若手の、ミニ句集を刊行することで彼等に「第一句集」刊行を促す目的で行われた企画でした。一期の十人は、これからその期待に大いに応えてくれることでしょう。

 ところで「夏潮」にはまだまだ「若手」が居り、雑詠欄等で頑張っております、そこで昨年に引き続き「第零句集シリーズ 第二期」を刊行することとしました。今回も左記の要領です。

 

      若手俳人諸君のこれまでの成果「百句」を新書版程度の簡単な冊子に集録する。

      一期十人、句集十冊を九月以降毎月一冊づずつ刊行する。

      配本は毎月の「夏潮」に同封する。

      価格は一冊六百円。十冊六千円のセットでご購読願う。

      目標は八十五セット。

 明日の「夏潮俳句」を担う若手を育成して、花鳥諷詠の真の価値を未来に伝えることは「夏潮」の悲願です。そのための「第零句集」とお考えになって何卒ご協力下さい。併せてまた、やや未熟ながら若手らしい清新な句風もお楽しみいただけると考えております。

  お申し込みは電話、手紙、メール、投句票の裏面、何でも結構です。折り返し「振替票」をお送りします。前回は売り切れとなってお手許にお届けできなかった方もおられました。是非お早めにお申し込み下さい。

  因みに第二期は以下の十人を予定しております。

 

  九月…三田たから 十月…宇佐美美紀 十一月…冨田いづみ 十二月…原 昌平  一月…原 三佳

  二月…田中 香  三月…矢沢六平  四月…石神主水   五月…原 昇平  六月…湯浅善兵衛

 なお一部の方から「シニア版」は無いのかとの声が寄せられて居ります。これについても今後大いに検討させていただく所存です。

興味のある方は、下記アドレスの「夏潮」HPの問合せ欄より御問合せ下さい。