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主宰近詠(2025年10月号)

岩魚の世界    本井 英

岩魚沢テンカラ釣りはせはしなや

引き緊むる糸に岩魚の怒り見ゆ

骨酒となり果てにける岩魚はも

大岩魚が蛇を引きずり込む話

岩魚淵へ提灯釣りの竿の先

へつり幾たびぞ岩魚に出会ふまで

左俣右俣岩魚日和なる

険悪なゴルジュ小暗し岩魚棲む

魚止めを越えて明るき岩魚沢

くねらする(シシ)のかたさよ大岩魚

薫風を棒とつつみて吹き流し


岩魚釣脛巾姿も隙の無き

岩魚釣に出たらし蒲団もぬけのから

ガードレール跨いで岩魚棲む沢へ

抗へる岩魚の鬼の形相を

岩魚釣りもどればロッジ朝餉時

ひら〳〵と小岩魚を釣り上げてけり

泣き尺と呼びて楽しき岩魚釣

ぼちぼちとアマゴ混じりに岩魚どち

これやこのヤマトイワナの面構へ

枝沢へ踏み込んで釣る岩魚かな

句会・吟行会案内(2025年9月‐10月上旬)

渋谷
  • 日時/集合:9月11日(木)
  • 吟行地・兼題:とうもろこし、水澄む  (新宿御苑吟行もあり)
  • 句会場:リフレッシュ氷川  2階多目的室C  03-5466-7700  (14:00締切 7句)
  • 幹事/連絡先:櫻井耕一 財前伸子
土曜
  • 日時/集合:9月13日㈯ 12:00  東京メトロ有楽町線・江戸川橋駅出口1a  
  • 吟行地・兼題:江戸川公園~東京カテドラル聖マリア大聖堂~肥後細川庭園  
  • 句会場:肥後細川庭園  松聲閣・洋室AB  (15:00締切 7句)  
  • 幹事/連絡先:宮川幸雄
タイドプール  (初心者対象)
  • 日時/集合:9月18日(木)13:00  JR上野駅公園口  改札前
  • 吟行地・兼題:上野  
  • 句会場:千代田区矢板ビル  03-3255-0471  (15:30締切 5句)
  • 幹事/連絡先:林 美佐子
湘南
  • 日時/集合:9月21日(日)
  • 吟行地・兼題:宝戒寺・八幡宮など
  • 句会場:鎌倉学習センター  0467-25-2030  14:00締切 7句
  • 幹事/連絡先:橋本由美子 飯田美恵子
東京
  • 日時/集合:9月24日(水)
  • 吟行地・兼題:池田山公園ほか
  • 句会場:三州倶楽部2階大ホール   品川区上大崎1-20-27   03-3447-6776   (13:30締切 7句)
  • 幹事/連絡先:渡邉美保 塩津孝子
池袋
  • 日時/集合:10月1日(水)  
  • 吟行地・兼題:蘡薁・酢造る  
  • 句会場:東京芸術劇場  03-5391-2111  (19:15締切 7句)
  • 幹事/連絡先:前北かおる
湘南タイドプール
  • 日時/集合:10月2日(木)    
  • 吟行地・兼題:夫婦池公園・鎌倉山ほか
  • 句会場:鎌倉教養センター(笛田)  0467-32-1221 (13:30締切 7句)
  • 幹事/連絡先:藤田千秋 原水和実
名古屋  
  • 日時/集合:10月5日(日)  JR東海道本線醒ヶ井駅11:00
  • 吟行地・兼題:醒井宿の町並み
  • 句会場:未定
  • 幹事/連絡先:大山みち子

課題句(2025年9月号)

課題句「女郎花」          髙橋庸夫 選

女郎花灯台守の通ふ径		近藤作子
きのふ降りけふも降る雨女郎花

旅路には心なごませ女郎花		財前伸子
山門に雨宿りして女郎花		柳沢晶子
女郎花揺れて原野の風の中		宮田公子
高原の風の軽ろさよ女郎花		前田なな

熱狂を忘れて秋の雲となる 前北かおる

 季題は「秋の雲」。虚子編『新歳時記』には「秋の大空に湧いては消える雲である。冬の雲の如く堅くもなく、夏の雲の如くいかめしくもない。絶えず流動して、人々を失望させたり、よろこばしたりすることが多い」とまことに感覚的な解説文が記されている。一句はこのような歳時記の解説にも、ある点で応えているような趣がある。もっとも注目すべき表現は「熱狂を忘れて」。虚子は「夏の雲」に関して「いかめしい」との評価を下しているが、作者はやや異なった見方をしているようだ。曰く甚だしい、狂おしいまでの「流動」である。「いかめし」の表現には「威厳」のようなものが強調されて、高々と連なる「雲の峰」の勇姿が想起されるが、「熱狂」は「動き」であり、我々の目に浮かぶのは、もくもくと立ち上がり止まるところを知らない「入道雲」である。作者はそうした「夏の入道雲」の「熱狂」を噓のように忘れて静かに「佇み」、「たゆたう」秋の雲を静かに見遣っている。精緻な写生句という訳ではないが、ここには季節の大転換が我々にもたらす劇的な変化に静かに向き合う俳人としての「目」がある。(本井 英)