日別アーカイブ: 2025年7月3日

課題句(2025年7月号)

課題句「汗」              佐藤 聡 選

ぐいぐいと乳呑む赤子汗ばめる		近藤作子
汗ぬぐふ手拭ひ首に駐車番   
汗の子の微笑みながら寝返 れる	川瀬しはす
面取れば童顔剣士玉の汗		前田なな
作務僧の額にうつすら光る汗		三上朋子
汗かかずス―としている寺女		深瀬啓舟

モノレール枯木の中を辷り出す 大山みち子

 季題は「枯木」。葉を落として幹と枝ばかりになった樹木である。「裸木」という季題もあるが、こちらにはやや情感が纏わり付く。「モノレール」は「一本」のレールを跨いだり、ぶら下がったりする仕組みの輸送手段。多くは都会でもお洒落な「乗り物」のことを呼ぶが、蜜柑山や山葵田などを縦横に巡って「荷物」を運ぶ軽便な小型運送手段も「モノレール」と呼ぶ。掲出句はおそらく前者であろう。「辷り出す」の措辞は「小型の運搬手段」には相応しくない。木立越しのやや斜め上方に「モノレール駅」が見えるのであろう。地上数メートルの高さに設置された「駅」にモノレールの車両が停車している。発車時間が来て、音も無く発車する「モノレール」。地上数メートルの高さには「枯木」の「幹」と「枝」ばかりである。そんな「縦の線」の密集の中を「辷り出す」近代的な「モノレール」の車体。不思議な調和が感じられる景となった。これも大切な「写生」の「眼」である。(本井 英)

雑詠(2025年7月号)

モノレール枯木の中を辷り出す		大山みち子
囀や長き参道ゆつくりと
とりどりのスワンボートに春兆す
武家門の日あたるところ福寿草

衰ひの車返しの大桜 		児玉和子
春風や池のここより川はじまる		青木百舌鳥
四面体の中に透けたる雛あられ		田中 香
春泥をヨ避けし足跡たどりけり		原 昇平

主宰近詠(2025年7月号)

お海苔ぱりぱり     本井 英

山麓の風大切の飼屋かな

掃立の毛蚕くろぐろと可愛らし

掌に重さとてある蚕かな

鬱勃と村中(ムラナカ)にあり桑畑

亡き妻が植ゑけん薔薇なほ紅き

ねずみ取りなど売り黴の荒物屋

蘖のゆたの緑の銀杏かな

竿先をきゆんと引き込み鱚ならめ

鱚釣に穴子が釣れてひと騒ぎ

大鱚のうす桃色にくねるとき


船頭もときどき鱚の絲垂れて

散り溜まりつつ芍薬のなほ白し

散り尽くしたる芍薬を掃きもせず

龍鱗を這ふ青蔦の途なかば

薄暑また佳し旧邸の公開日

籐椅子をゆつたりと置く畳かな

熊蜂のぶら下がる零れては翔ぶ

おむすびのお海苔ぱりぱり雲は夏

軽暖や老いの膚へに心地よく

蘆端正に蒲は屈託なく茂り

句会・吟行会案内(2025年7月)

渋谷
  • 日時/集合:7月10日(木)
  • 吟行地・兼題:駒草、夏の海  (新宿御苑吟行もあり)
  • 句会場:リフレッシュ氷川  2階多目的室C  03-5466-7700  (14:00締切 7句)
  • 幹事/連絡先:櫻井耕一  財前伸子  
土曜
  • 日時/集合:7月12日㈯ 12:00  京王井の頭線・駒場東大前駅(各駅停車)西口改札前  
  • 吟行地・兼題:目黒区立駒場野公園~日本民藝館~駒場公園~旧前田家本邸~電車移動~新代田駅  
  • 句会場:世田谷区代田区民センター会議室  (15:00締切 7句)  
  • 幹事/連絡先:宮川幸雄  
タイドプール  (初心者対象)
  • 日時/集合:7月17日(木)13:00  JR上野駅公園口  改札前
  • 吟行地・兼題:上野  
  • 句会場:千代田区矢板ビル  03-3255-0471  (15:30締切 5句)
  • 幹事/連絡先:林 美佐子  
湘南
  • 日時/集合:7月20日(日)
  • 吟行地・兼題:妙本寺・八雲神社など
  • 句会場:鎌倉学習センター  0467-25-2030  14:30締切 7句
  • 幹事/連絡先:橋本由美子  飯田美恵子  
東京
  • 日時/集合:7月23日(水)
  • 吟行地・兼題:目黒・自然教育園      
  • 句会場:三州倶楽部2階大ホール   品川区上大崎1-20-27   03-3447-6776   (13:30締切 7句)
  • 幹事/連絡先:渡邉美保   塩津孝子   
池袋
  • 日時/集合:(8月はおやすみ)  
  • 吟行地・兼題:  
  • 句会場:
  • 幹事/連絡先:前北かおる  
湘南タイドプール
  • 日時/集合:(8月はおやすみ)  
  • 吟行地・兼題:
  • 句会場:
  • 幹事/連絡先:藤田千秋  原水和実  
名古屋  
  • 日時/集合:(8月はおやすみ)  
  • 吟行地・兼題:
  • 句会場:
  • 幹事/連絡先:大山みち子