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この項は俳誌夏潮に寄せられた質問を本井英主宰が回答したものです。
Q「と聞けば」 上五が字足らずの句
八月号、主宰近詠の〈と聞けば塩辛蜻蛉男前〉は同号座談会中の〈と言ひて鼻かむ僧の夜寒かな〉を
踏まえて詠んでいるのでしょうか。「何、捕ったの」と聞くと「シオカラトンボ」と答えて顔を上げた男の子は、
ドキッとするような男前だった、という解釈で良いのでしょうか。インパクトのある句だと思います
A
「と聞けば」の上五は確かに「と言ひて」の影響。
というより、虚子流の一見「字足らず」を試みてみたかったのは事実です。
句の解釈は読み手の自由ですが、
実は、「塩辛蜻蛉」は全部「雄」で、「雌」は「麦藁蜻蛉」であると同行の方から教えていただいた折に出来た句です。
まるで鴛鴦みたいに雌雄が似てないのです。
「男もなかなか綺麗じゃないか」という讚美の気持ちです。
貴女の解釈も面白いかもしれません。
Q「ける」と「けり」
七月号の雑詠欄に〈スコールの柱のやうに降りにける〉という句がありましたが、「降りにけり」とした場合と
どのような違いが生じるのでしょうか。
A
難しい質問ですね。「けり」は詠嘆の助動詞と言われているものですが。
終止形の「けり」にしてしまうと、どこか臨場感が薄いような、
過去のある事柄を回想しているようにもとれてしまうような気がします。
それを連体形にすることで、「降りにける・ことよ」と眼前の景にしてくれるように思ったのです。
上五が「スコールや」であれば話は別で、その場合は「降りにける・スコールよ」と叙述がもう一回りする効果があります。
Q「の」と「に」の使い方
場所を表す助詞の「の」と「に」の使い方に迷う事があります。
「に」だと説明になる傾向があるのでしょうか。
A
確かに「に」は理屈っぽい面があります。
ただし次のような場合はどうでしょうか。
見はるかす冬田の奥に竹生島 英
前面に近江の冬田が広々と広がっていて、その先の湖面は見えぬながら「竹生島」が見えている景です。
もちろん「奥の」でも似たようなものです。
ただし「奥に」とすることで、「思いもかけず」とか「あれは、確かに」といった発見の喜びが表現できたのではないでしょうか。
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