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俳句、短歌、川柳の違いについて、夏潮会主宰本井英が、簡単に語ります。
短歌は万葉集・古今集の伝統を守り、近代にまで
その詩形が伝えられてきましたが、「うた(歌)」=「うったえ(訴え)」。
何処までも、作者の主張・心情を相手に「そのままのかたちで」
伝えようとするものです。
従って現代の主張・心情を伝えるのに邪魔な「言葉の約束」は
31音以外すべて捨ててしまったものです。
一方、俳句の歴史は短歌ほど長くはありませんが、
季題(季語)という伝統的な言葉を入れる約束のおかげで、
短歌よりむしろ日本文学の伝統の上を正しく歩んでいるとも言えます。
主張・心情を「押しつける」のではなく、「察し合う」。
共感をもって相手の信号を受け付ける美点があります。
そして何処までも、季題(季語)に代表される、日本の国の美しさを、
季節の推移の楽しさを味わうことに中心があります。
江戸時代も後半なって現れた「川柳」。
これも文芸として価値の高いものですが、こちらは季節の運行の美しさよりも、
人間の微妙な心理の綾を述べることに力点を置いた。
たとえば「本降りになって出て行く雨宿り」のようなものです。
確かに人間らしい、真理の機微は詠まれていますが、「俳句」のような季節への共感は見られません。
「短歌」も「俳句」も「川柳」も共に価値ある日本の「短詩」ですが、伝統的な言葉の文化、
そんな民俗遺産を色濃く受け継いでいるのは「俳句」ということになるでしょう。
本井英