雑詠(2014年11月号)

船はもう海をわたらず夏つばめ               井上 基
埋め立てて海の遠さよさるすべり
青蔦の崖より電車現るる
はまゆふの花が中央分離帯

卓袱台を縁側近く冷奴         児玉和子
庶務百般ときには毛蟲焼くことも    酒泉ひろし
よく熟れし夕日を抱へ夕焼くる     国分今日古
定年の夫にも慣れて冷奴        前田なな