雑詠(2013年7月号)

午后となり厨辺りも暖かく		柳沢木菟
花びらの少しほつれて辛夷かな
耕の終へたるばかり土匂ふ
木戸の猿少し渋りて春の庭

夜桜におしたふされてしまひさう	金子千鶴
春愁の指輪くるりとまはしみる		本間素子
苗札に藍とありまた棉とあり		山内裕子
いつまでもこの籐椅子にすわりたく	田中温子