雑詠(2013年2月号)

芭蕉林ぬけて水辺の曼珠沙華		櫻井茂之
蟲賣の影を濃くする花街の灯
握り飯口に冷たし昼の虫
ちらちらと光散らせる松手入

葉鶏頭書庫は廊下の突き当たり		小沢藪柑子
薔薇も実をつけて狭庭の此頃は		高瀬竟二
青空に行き渡りゐる鰯雲		永田泰三
朝の日に腹染めながら小鳥来る		山本道子