ゆるやかに道曲がりゆく枯木立   山内裕子

 季題は「枯木立」。すっかり葉を落とした幾幹かの冬木がほつほつと佇んでいる。広々とした公園の一画などを思い浮かべればよい。そんな木立を縫うように進む道。いま作者が立ち止まっている道が、ゆっくりとカーブしながら先へ進んでいる具合が、「枯木立」ごしに見えているのである。何処にでもある、平凡な景色であるが、少し先まで見えている「道」に何となく、人生の「一寸先」を読者は感じてしまう。

 この句を作者が詠んだということは、「この景」に作者自身、どこか心が惹かれたからに相異ない。しかし何故心惹かれたか、それは作者自身も気付いておられないかも知れない。「なんとなく心惹かれる景色」といった程度ではなかったか。一方読者である筆者は、同じように心惹かれながら、「人生の一寸先」を感じた。もしかすると作者自身も、ご自身でそれと気付かれぬながらも、「一寸先」への不安や期待を心の中に抱えておられたからこそ、「この景色」に惹かれたのではなかったか。「花鳥諷詠」の根本にあるメカニズムのようなものを、筆者は強く感じた。  (本井 英)

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