主宰近詠(2019年3月号)

はれがまし  本井英

小諸・富山 三句

消火器の赤のきはだち庵の冬 ぎくしやくと融雪栓の噴きはじむ 鰤待ちて沖にしづかに定置網 菰巻に顔を寄すれば香りけり 明るさや時雨やどりの池ほとり





櫨の実のわつさわつさと生りきそひ

花八手菌糸のごとくたくましく

海苔篊をすり抜けてくる風ぬるし

小ぶりなる防災倉庫島の冬

泉水にやつて来てをり都鳥





ワイパーが拭へば次の霙かな

水仙や腓の日ざし楽しさに

顔見世や舞妓まじりにはれがまし

顔見世の役者が朝の食堂に

ボロ市の真只中に住まひせる





混ぜ垣やまぬかれがたく茶は花を

掃き寄すや銀杏黄葉の粉々も

充電のごとく冬日に身をさらし

ひとり来て心はなやぎ冬紅葉

柚子三つ惑星のごと湯にうかび
.