難持坂をのぼれば花の雲のうへ    冨田いづみ « 夏 潮

難持坂をのぼれば花の雲のうへ    冨田いづみ

 「難持坂」は大田区池上本門寺の参道「此経難持坂」、九十六段の階段。法華経宝塔品九十六文字に因んで作られたという。季題は「花の雲」。桜の花が咲き満ちて、あたかも「雲」のように犇めいている様子である。  池上本門寺に詣でた作者は池上線の駅から歩いて、呑川に架かる橋を渡り、満開の桜の道を進み、「難持坂」の急階段を登って仁王門に達したのであろう。そして振り返った時に、作者の目に飛び込んで来たのは眼下に蟠る「花の雲」。「難持坂」を登っている最中は脇目も振らずに、ひたすら歩いた。そのご褒美のような絶景に心奪われている作者の、満足した姿が見える。体験をそのまま句にしたものだが、真っ直ぐな表現の中に、俳句の至福のようなものが詰まっている。(本井 英)

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