この雪の下の景色を忘れたり  国分今日古

 季題は「雪」。これは降っている「雪」ではなく、降り積もっている「雪」。日本列島の中でも、常にこうした景色に遭遇する地方と、なかなか経験しない地方に大きく分かれる。さらにこの句は、しばらく、何日も同じような「雪景色」を見慣れてしまっているので、まったく「雪」の無かった頃の景色を「忘れてしまった」と嘆いている。

 こうなると、やや特殊な、いわゆる「雪国」独特の風土を詠んだ句であることもはっきりしてくる。実際「雪国」に住んだことの無い者にはちょっと想像しにくい感想であるが、よく読んでみると、そんな感覚もあろうかと納得がいった。

 この句の魅力はリズム。十二音と五音の語群に分かれていながら、五音(下五)のきっぱりした語調で、全体が引きしまって聞こえる。ふっと口を衝いて出て来た言葉でありながら、「たり」の助動詞が潔い。説明しよう、伝えようという意識より、作者の心の呟きが優先しているためだ。(本井 英)

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