一俳誌 本井英
雪しろや信濃を出でて信濃川 旧正のホ句を持ちより集ふなり 旧正を言祝ぎ集ふ一俳誌 旧正の濠のあなたの岡辺かな 旧正を暮れ方ちかく訪ひくるる
雨止みて外あたたかとナース言ふ 見舞ひくるる人無きままに日は永き クレーンが遅日の空にまだ働く 文学碑麓にありて山を焼く ドローンぞ野焼の空に音たかく
これ以上ひらくあたはず犬ふぐり 吾妹子の背中ぞ遠きつくつくし 海苔の潮充ちわたり日はさしわたり 海苔を干す香り一村領したり 若布干す小浜々々をたどり来し
朝寝またかりそめならず恙の身 点滴の外れて朝寝うまかつし 今朝も空碧しミモーザ黄を兆し 晩節へ踏み出す一歩木の芽風 手負ひの身ながら青きを踏まんいざ
主宰近詠(2018年5月号)
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