主宰近詠(2018年2月号)

崖の裾まで   本井 英

朝寒や介護タクシー待たせおき

十三夜もう始まつてをりにけり

 

京都 三句

冬立ちて市バスの色のやさしけれ 冬立つや絵馬にくろぐろ八咫烏 木の葉雨疎水等高線なぞり




京都清風荘 二句
お二階の窓ごとの冬紅葉かな 杣道に似せてしつらへ落葉積む 大根畑防潮堤の外側にも 大根の穴へ土塊こぼれけり 腕なげて鷹匠鷹を放ちけり




小春なる沼のかたちのまかがやき

水鳥の気配や蘆襖をへだて

曳き波が枯蘆を囁かせたる

細枝に細枝に冬桜かな

沖磯の奥宮もなほ神の留守




海桐の実はじけてくすみゆくばかり

酉の市ここの手締めは柝が入り

トンネルを抜けてこちらの冬紅葉

崖の裾まできつちりと冬耕す

大綿の浮いて大人し音もなく
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